Episode.4 移植待機者に想いを寄せられるCさんのストーリー

まず、私自身や家族に臓器移植の経験が無いことをお伝えいたしておきます。それでも、日本の移植医療の推進を願うこの活動を応援したいと考えました。

その、きっかけについて書かせていただきます。


私の息子は心臓病です。胎児エコーで判明して、心臓病であると知った上で出産しました。


息子は、普通なら心臓に心房と心室が各2つずつあるところを、各1つずつしか持っていません。他にも肺静脈の還流異常※(かんりゅういじょう/血管の走行に不具合があること)や、肝臓が左右対称であったり、脾臓(ひぞう)がなかったり、胃が極端に小さいなど臓器の奇形をいくつも抱えています。

疾患は先天的なものであり、体は奇型を維持したまま出来うる限り長く生きられるように治療や手術を行います。仮に、正常な形の心臓を移植したところで、息子の体はバランスを保てなくなってしまう可能性が高いとのことです。

息子は、心臓や胃の手術をしながら、今年5歳になりました。毎年手術をしていた為、半年に一度は入院しています。


入院中、筋力が弱く立ったり歩いたり出来ない息子は、病棟を私に抱っこされてお散歩していました。息子に乞われ何往復もするので、病棟で入院している子達が目に入るのですが、大抵の子は次の入院の時には退院しています。


ですが、ずっと入院したままの子もいます…。


廊下を果てしなく歩く私達に、時折声をかけて下さるのは長く入院している移植待機の子のご家族でした。

病院毎にルールは違うかもしれませんが、待機中のお子さんもリハビリとして病棟をお散歩している時はあります。しかし、看護師さんの補助が必要な為、基本的には病室から出られないそうです。


あまりのことに言葉がありませんでした。


そして、私に何か出来ることがあるならやろうと決心しました。

移植待機の方々は「現代医療では手立てが無く入院し続けている」のではない。

ひたすら耐えながら、いつになるかわからない移植を待ち続けています。


海外の少なくない国々が移植医療に関し、システムを確立させ、移植を必要としている方達へ手術を実施しています。

しかしながら、日本においては移植医療の設備やシステムが充分ではない為に、諸外国に遠く及ばない手術件数で伸び悩んでいます。結果、移植待機の患者さん達は数年以上待つのです。


この現状は変えられます。


大人も、子供も、移植待機入院の時間を減らし、家族と共に生きられる国にしない理由はあるのでしょうか?命より大切なものなんてありません。必要な医療を受けられるように整備して、救える命を助けられる日本になることを心から願っています。

#臓器移植について話そうの会

私たちは日本の移植医療の現状をたくさんの方に知ってほしいと移植当事者や関係者でインターネット、SNSを中心に活動しています。