臓器提供とは?臓器提供について考える

「臓器提供意思表示」していますか?臓器移植はドナー(臓器提供者)とドナーの家族の善意による臓器提供による命のバトンです。臓器提供にはドナー側の意思が尊重されます。難治病との闘病で命が危ぶまれる移植患者や家族はその命のバトンによって身体的にも精神的にも救われます。

「でも、臓器提供って本当のところはよく知らない」「どう考えたらいいんだろう」そんな方も多いかと思います。

ここでは臓器提供への考え方をまとめたいと思います。



◆臓器提供について考えるときに知っておいてほしいこと

臓器移植は「臓器の移植に関する法律(臓器移植法)」等の法律に則って公平・公正に行われます。臓器を「提供したい」「提供したくない」「移植を受けたい」「移植を受けたくない」というどの気持ちも尊重されるようになっています。

本人の意思を尊重するためには、強制や誘導があってはなりません。


◆「臓器提供」とは

残念ながら救命が叶わない状態の脳死後、または心停止した死後に移植手術が必要な患者へ健康な臓器を提供することを言います。

2010年7月17日に改正臓器移植法が全面施行され

・生前に本人が臓器を提供する意思表示をしていて、ご家族の承諾がある場合

・本人の臓器提供の意思が不明な場合でも提供拒否の意思表示がない場合にはご家族の承諾があれば臓器提供をできるようになりました。

これにより、15歳未満の方からも脳死後の臓器提供が可能になりました。


◆知っていますか?「臓器提供の決断と脳死」

脳死とは事故や病気により救命治療をしたにもかかわらず、脳障害などで脳全体の機能が失われた状態で回復の可能性がなく、元に戻ることがない状態を言います。薬剤や人工呼吸器等によってしばらく心臓を動かし続けることはできますが、やがて(多くは数日以内)心臓も停止してしまいます。脳死は生命維持が可能で適切な医療を行えば生存できる植物状態とは異なります。

現在の日本の法律では脳死判定は臓器提供を前提にした場合のみ行われることとされているため、

・このまま薬剤や機械による延命措置を続けるのか

・臓器提供をし、脳死判定を受け延命措置を中止するのか

臓器提供は終末期における選択肢の1つなのです。


※Point /延命措置は患者への身体的な負担が多いこともあり、昨今では延命措置を望まない声も多くなってきています。本来は「延命措置を続けるか」「延命措置を中止し息を引き取ることを待つか」その先の選択肢として「臓器提供をするかどうか」がもう一つの選択肢としてあるべきという声も上がっています。


◆臓器提供の意思表示をしていなかったらどうなるのか?

本人が臓器提供の意思表示を遺していない場合、家族が臓器提供をするかどうかの決断をすることになります。

主治医等から「脳死とされうる状態」であることが説明され、家族から「臓器提供について詳しい説明を聴きたい」との申し出があれば、臓器移植コーディネーターが派遣され、臓器提供に関する説明がされます。そこで承諾をした場合、法律に基づいた厳格な脳死判定を2回行い、2回目の脳死判定をした時刻が死亡時刻となります。脳死判定後に移植候補者が決まると摘出手術が行われます。心停止後の臓器提供では、脳死判定を受けることはありません。

◆臓器提供の意思表示は「家族への思いやり」

2021年の内閣府の世論調査結果によると「本人が臓器提供について何も意思表示をしていなかった場合、家族の臓器提供を決断することに対し負担を感じるか?」の問いに対し、「負担を感じる」(「大いに負担を感じる」「負担に感じる」「少し負担に感じる」と答えたもの)と答えた割合は85.6%との結果が出ています。

突然の悲しみの中「本人の意思がわからぬまま家族が決断する」その負担を少しでも軽くするために、家族への思いやりのひとつとして臓器提供の意思表示と家族にその意思を伝えておきたいですね。

※Point /本人が意思表示をしていなかったため、臓器提供をする・しないを決断した後にご家族が「本当にこれで良かったのか?」と悩むケースがあるそうです。突然の悲しみの中でのご家族の悩みを減らす為にも、生前に本人が意思表示をすることはもちろん、ご家族ともその意思を話し合い共有することは大切ですね。

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